- 商号は自由に決めることができますか?
- 取締役は何人必要ですか?
- 資本金は最低いくら必要ですか?
- 発起設立と募集設立の違いは何ですか?
- 会社の目的を決める際の注意点はありますか?
- 取締役の任期は何年でしょうか?
- 事業年度はどのようにしたらよいでしょうか?
- 会社設立までどれくらいの日数がかかりますか?
- 会社設立後にすべき手続きとして何がありますか?
商号は自由に決めることができますか?
株式会社の商号を決定するにあたり、以下の点に注意する必要があります。
- ①最初か最後に「株式会社」とつける必要があります。
- ②使用できる文字は以下の通りです。
- 漢字・ひらがな・カタカナ
- ローマ字(大文字または小文字)
- アラビア数字(1、2、3・・・)
- 符号(「&」(アンパサンド)「’」(アポストロフィー)「,」(コンマ)「-」(ハイフン)「.」(ピリオド)「・」(中点)」)
- 符号は、字句(日本文字を含む。)を区切る際の符号として使用する場合に限り用いることができます。 したがって、商号の先頭又は末尾に用いることはできません。 ただし、「.」(ピリオド)については、省略を表すものとして商号の末尾に用いることもできます。
- ローマ字を用いて複数の単語を表記する場合に限り、当該単語の間を区切るために空白(スペース)を用いることもできます。
- ③会社の一部を表す言葉(支店、支社など)は使用できません。
- ④有名企業の商号やブランド名を使用することはできません。
- ⑤公序良俗に反する商号や実態とまったく合わない商号は使用できません。(飲食業なのに「○×自動車販売」など)
類似商号についてですが、会社法の施行により、同一の所在地(同じビルの中など)でなければ、
同一の市町村内に同じ商号の会社の設立登記をすることが可能となりました。
しかし、類似商号で同一の事業を行っている会社が近くにある場合には、商号使用の差し止めや損害賠償の請求をされるなど紛争が発生する可能性があります。
従って類似商号を使用している会社が近くにないかどうか確認しておいた方が良いでしょう。
(類似商号については管轄登記所の商号見出簿、会社年鑑、電話帳等で調査します。)
取締役は何人必要ですか?
取締役会を設置しない会社では、取締役の員数について、原則として1人でも足ります(会社法326条1項)。
従って、公開会社でない会社(すべての株式について株式譲渡制限のある会社)であって、取締役会を設置しない会社では、取締役の員数を1人とすることが可能です。
なお、監査役については一定の場合を除いて必要ありません。
資本金は最低いくら必要ですか?
1円以上であればいくらでもかまいません。
ただし、現実問題として、実態のないペーパーカンパニーの設立は論外ですが、何らかの事業を行う以上、開業資金、開発資金、仕入資金等の資金が必要となるのが通常です。
従って、資本金を過度に小さくする必要はないものと考えます。
また、資本金の額によって税務上の取り扱いが異なる場合もあるため、そういった点の考慮も必要です。
発起設立と募集設立の違いは何ですか?
発起設立とは発起人のみが会社の出資者となる設立方法です。
募集設立とは発起人以外にも会社の出資者を募る設立方法です。
募集設立では創立総会の開催が必要です。
創立総会とは発起人を含めた会社の出資者により、会社設立についての報告や設立後の会社に係る事項を決定する機関です。
なお、現在設立される株式会社のほとんどが発起設立により設立されています。
発起設立では株式払込の証明方法として、金融機関から発行される払込金保管証明書による必要はなく、
定款認証後に払い込みがなされた金融機関の預金通帳コピーに設立時代表取締役の証明書をつけたものでもよく、
募集設立より低コストで簡単かつスピーディーな設立が可能となっています。
会社の目的を決める際の注意点はありますか?
以前(会社法施行前)は、会社の目的審査の基準として、
- ①適法性
- ②営利性
- ③明確性
- ④具体性
の4つの基準が挙げられていましたが、会社法では類似商号の規制が廃止されましたので、④の具体性が除外されました。
よって、「商業」「商取引」「事業」「建設業」といった具体性を欠く目的でも登記は受理されますが、金融機関との取引や監督官庁に許認可の申請をする際に、
支障が生じないように、出来るだけ具体的に記載する方がよいでしょう。
取締役の任期は何年でしょうか?
取締役の任期は、選任後2年以内に終了する最終の事業年度の定時株主総会の終結時までですが、
公開会社でない会社(すべての株式について株式譲渡制限のある会社)の場合(委員会設置会社を除く)は、定款で、
取締役の任期を選任後10年以内に終了する最終の事業年度の定時株主総会の終結時まで延ばすことができます(会社法332条2項)。
また、取締役のうち、特定の者や一定条件を満たす者を定款で示し、そのような取締役の任期のみを別に定めることもできると解されています。
なお、前記のとおり、取締役の任期を選任後10年まで伸長できる場合でも、会社オーナーや支配株主でない者が長期間の任期の取締役に選任されると、
会社オーナーや支配株主と対立し、会社が混乱することも懸念されるので、このような場合は、適当な年数の任期にとどめておいた方が無難です。
事業年度はどのようにしたらよいでしょうか?
事業年度は、自由に定めることができます。
事業年度は、決算期が事業の繁忙な時期に重ならないように定めたほうがよいと思われます。
また、会社の事業年度は1年を超えることができませんが、1年を2事業年度以上に分けることも可能です。
会社設立までどれくらいの日数がかかりますか?
一般的には、基本事項が決定していれば、2週間前後で会社設立が可能ですが、印鑑や印鑑証明書の準備や作成書類への押印に時間がかかってしまった場合、 あるいは管轄法務局の混雑により登記の完了に時間がかかってしまった場合などはさらに日数を要する場合もあります。
会社設立後にすべき手続きとして何がありますか?
会社設立後は、税務署には、法人設立届出書、給与支払事務所等の開設届出書、青色申告の承認申請書等、県税事務所と市町村役場には法人設立届出書、
社会保険事務所には、健康保険厚生年金保険新規適用届、新規適用事業所現況書、健康保険厚生年金保険被保険者資格取得届等の届出が必要です。
この他にも労働者を1人でも雇った会社は労働基準監督署やハローワーク(公共職業安定所)への届出も必要となります。